人生最悪の旅から
パリから戻り1週間が経ち、パスポートやクレジットカードの再発行を進めようとしていた時、在フランス日本大使館から電話が入りました。
「あなたのパスポートを預かっています。」
「…?」
まさかと思いました。
絶対に戻ってこないと覚悟しているのに、日本大使館が自分のパスポートを持っている…??
聞くと、パリ市内に落ちていた自分のパスポートなどを拾った人が郵便局まで届け、心優しい郵便局員がパリの日本大使館まで届けてくれたようです。
「極めてまれなケースです。」
大使館の方も驚いた様子でした。
早速、ドイツまで郵送してもらえないかお願いしてみましたが、パスポートは人と同じ扱いで、絶対郵送してはいけないそうです。
万引きをしてしまった子どもを引き取りにくる親のように、直接引き取りに行かなければなりません。
「苦い思い出のあるパリにまた…」
しかもたった1週間しか経ってません。
でも迷っている暇はないと思い、行くことを決めました。
夜行バスで約6時間。パスポートが無いので、チケットを買うときにちょっともめましたが、フランス語で書かれた被害届を見せ、何とか出発することができました。
翌朝5時。大使館が開館するのは9時半。
パリの日本大使館は、あの有名な凱旋門から近くにあるので、凱旋門から伸びたシャンゼリゼ通りを歩き回り、まだ観光客も少ない朝の散歩を楽しみました。
カフェで朝食をとり、9時半。ついにパスポートと再会するときが来ました。
日本大使館へ入り名乗ると、待ってましたとばかりに、数分で再会できました。
届けられたものを受け取ると、そこには、パスポート、ドイツのビザ、クレジットカード、キャッシュカード、保険証など、財布に入っていたカード類がほとんどありました。
本当に驚きました。
自分が目を離したあの瞬間から、何人もの手に渡り、どうやってここまでたどり着いたのか、不思議でなりませんでした。
できることなら、このパスポートたちが、自分とはぐれたあの後に、どんな体験をしたのか聞いてみたいです。
よく無事に帰ってきてくれたものです。
昔から思いますが、何か嫌なことが起きても、いつも見えない何か?誰か?に支えられている気がします。
何だか清々しい気持ちで、ドイツへ戻るためのバスを予約すると、空いていたのはその日の夜10時発。半日観光する時間が持てました。
今度こそ写真を持ち帰りました!大切にしていたカメラは戻ってこないので、これから暫くはiPhoneで写真を撮っていきます。観光の思い出も挟みつつ、パリを紹介します。
エトワール凱旋門。ナポレオンが軍事的勝利を讃えて作らせたようですが、本人は殺害されてしまったあと、死体となって凱旋門を通過することになったそうです。中は階段が走っていて、てっぺんまで登れます。
エッフェル塔近くにある日本文化会館で行われていた、イベント。鎧や兜、そして福島県相馬市で行われている、伝統的な祭りの映像を流していました。
映画「アメリ」は、パリの映画でした。
この写真にも載ってるオードリー・ヘップバーンも有名ですが、ベルギーのブリュッセル出身です。ブリュッセルに行ったとき、オードリー・ヘップバーンの生まれ育った家にも行ってきました。
家の壁に、金色のプレートが貼られています。博物館でも何でもありませんが、オードリー・ヘップバーンが歩いた道、見た街並みに自分が溶け込んでいると思うと、ワクワクするものでした。
エッフェル塔。東京タワーに似ていますね。階段かリフトで登れます。
エッフェル塔から見たパリの街並み。
透けて地上が見える、ガラス張りの床。
セーヌ川を走るディナークルージング用の船。いつか誰かと来ることができればいいので、今は外観だけ。
ルーブル美術館。世界最大の超巨大美術館です。
前回はここで数時間以上も過ごしました。たくさんの有名画の中でも、あのモナリザ。あれは別格で、防弾ガラスで守られていました。
エッフェル塔近くのフリーマーケットで、タニー・ローセンというおじさんが手作りの革製バッグや靴を売っています。相場は100〜150€くらいと高いですが、30分くらい話し込むと半額で購入できました。ラクダの革製です。
おじさんの口癖は、「俺はプラスチックが嫌い」
ドイツでお世話になっている大家さんへのお土産。
ルーブル美術館近くにある、おいしいクッキー。
悔しい思いもしましたが、今では感謝する毎日です。
また頑張っていきます!
Ichimasa