イスラム国(ISIS)

みんなもそうだと思いますが、最近、この問題のことばかり考えています。世界の脅威となっている、とんでもないテロ組織「イスラム国」についてです。

事件の経緯はみんなが知っていることなので割愛しますが、人生を賭けて最期まで世界中へメッセージを配信し続けた日本ジャーナリストの後藤さんと、民間軍事会社のCEOだったという湯川さんが、伝えたかったメッセージは何だったのでしょうか?


まず自分が言いたいこと。「最期まで」と書きましたが、自分は未だに信憑性を疑っているような状態です。
自分のおかれた環境とはかけ離れすぎた、いわゆる「平和ボケ≒Wishful thinking」の感覚でもの申していると思いますが、自分は、彼らの身柄が、信頼できるメディアによって確認されるまで、どんな形であれ生存を信じていたいと思います。映画を見せられ「これを信じろ!」と言われているように思えてなりません。

YouTubeに投稿された動画だけで、「湯川さんが殺されました」「後藤さんが殺されました。信憑性は高い」そう判断することにも疑問を持っています。政府はなんらかの情報を隠し持っていることは間違いなさそうですが、動画がいつ撮影されたものか判断できず、最新の画像技術を駆使している可能性もある中、どうも腑に落ちません。


湯川さんは、民間軍事会社のCEOとして、度々シリアとイラクを訪問し、現地レポートを配信していたようです。現地で訓練のためと言って武装し、銃の射撃まで行っていたようなので、敵だと思われて当然だと思いました。湯川さんがどれだけの心意気で戦場を訪れていたのか分かりませんが、現地で国や宗教のために命がけで戦う兵士とは温度差があったように感じます。武器に興味があり、実際に戦争の地で戦っている戦闘員に憧れを感じたのでしょうか…。
後藤さんとともに行動していたこともあるようです。経験を日本へ持ち帰り、日本人としてできることを考えて世界に貢献したいと考えていたと思いますが、正直、理解できない行動もあります。最終的な目的は何だったのか…単に取材?戦闘員を送りこむこと?ビジネス?
民間軍事会社というものが存在していること自体、知りませんでした。

http://ameblo.jp/private-military/



ISISはネットを利用して他国からの人材も集めていて、海外から約80か国15,000人が参加したと聞いています。中には北欧から、10代の女の子が戦闘員と結婚するために参加したり、勧誘も映画のようにうまく、刺激を求める人にとっては魅力あるものなのでしょう。
はぁー…考えられません。


そして後藤さん。中東だけでなく、アフリカを訪れていたり、最前線で何が起きているのか、生々しい状況を伝えることが使命で、ジャーナリストとして活動を全うされている姿には感心しました。友人である湯川さんを助けるためにトルコからシリアに潜入したようですが、このような状況に陥ってしまったことを残念に思います。
経験のある方でしょうから、危険は充分に分かっていたはずですし、最悪の状況も絶対に想定していたはずです。それでも決断に至ったのは、やはり使命感だったと思います。もし自分の親友が捕えられてしまったら、同じ行動ができるかと聞かれたら考え込んでしまいますが、使命感に駆られて行ってしまう気持ちも充分に理解できます。残された家族を気の毒に思いますが、自分も生存の可能性を信じたいです。


2人の日本人はすでに殺害されたとされていますが、ISISの言い分は納得できません。


「ISISと対立する国々を支援している日本も敵だ!」


確かにISISから見た日本は、そのように映ってしまっているのだと思います。ですが、日本は直接攻撃を与えているわけではなく、ISISによって国を追い出された人々を支援しているだけです。イギリス、フランスやアメリカのように、やられたからやり返しているという殺害理由とは全く異なります。
世界中に発信されている有志連合国に「日本」が2014年9月から含まれているので、非軍事的支援であってもISISから見たら、同じに見えたのでしょう。残念です。

http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/2862343.stm


ISISが要求してきた、人道支援と同じ額の200億円を払ったとしても、身柄が戻った保証はありませんし、その200億円の資金によって、より多くの人の命が奪われることは間違いありません。海外で生活する身として懸念することは、日本人が次々と誘拐され、身代金を要求される、ということです。簡単に想定できます。

日本政府がヨルダンに対して行っている人道支援自体について、批判する人はあまりいないと思いますが、安倍首相を非難する人はたくさんいます。国会でもたくさん意見が飛び交っています。
確かに、中東を訪問するタイミングは良くなかったし、公表した発言内容もISISを刺激するような内容が含まれていました。今、中東を訪問する必要すらなかったようにも思いますが、責任取って辞任しろだの、安倍首相が人質を殺しただのいう人がいますが、200億円を支払わずに交渉できないか、水面下で動いていたことは間違いありません。
途中から、ヨルダンに拘束されている自爆テロ犯とISISに拘束されているパイロットの引換えなどの条件が入り、ヨルダン政府にも迷惑をかけてしまいました。

安倍首相を攻撃しても意味ありません。更なる混乱を呼ぶことはISISの思惑通りです。
もし首相が「くそーISISめ!」と感情的になって軍事支援を始めるとなると、たぶん自分も含めて徴兵され、第3次世界大戦の幕開けとなります。そんな事態は、後世のためにも絶対に避けなければなりません。では、何人の日本人が殺されたら戦争に踏み切るか?そんなことも頭をよぎりますが、戦争だけは絶対に避けなければなりません。



今回公になった、日本が行っている難民支援についてですが、ヨルダンの医療の質を向上させるためにも日本政府は働きかけていて、医療機器の供与なども行っています。自分は今大学院生なので、インターン先を探していて、実はヨルダンも候補にありました。



皮肉なことに、戦争が増え、負傷者が増えると、病院の需要が一気に高まる。となると、医療従事者が必要になるわけで、それが仕事となる。
科学者は命を救うために研究を重ね、医療が進歩していく…。日本の医療が急激に発展したのも、戦争を重ねるごとにたくさんの犠牲者、負傷者を出したからです。

世界平和を世界中の人々が望んでいながら、現実にはあり得ないものの、事件・事故・戦争・貧困・病気などがゼロになれば、病院なんて必要ありませんし、科学技術の進歩も必要ありません。
本当は医療機器のエンジニアなど、国際協力など必要ないのが理想なんです。

そこには大きな矛盾があり、たまに自分を悩ませますが、湯川さん、後藤さんもきっと似たような心境になったことがあるに違いありません。



ISISの占領するエリアには、たくさんの子どもたちがいますし、アメリカを心底嫌っています。そのように教育を受けています。育った環境がそのような状態だったら、自分も、自分にとっての正義はアメリカを倒すことだったはずです。
2003年、アメリカの侵略によってイラクが攻撃され、もし両親や友だちが殺されてしまったとします。そして悲しみを抱えたまま時が経って2015年。その復讐が始まったのです。
今ISISによって教育を受けている子どもたちの将来がとても不安です。




このテレビ中継は、アメリカ人とISISを支持する人のやり取りです。


アメリカは攻撃しただろ?」
「お前はISISをサポートするのか?」


みたいな解決できないやりとりが延々とされています。



自分は罪のない人々を殺害し、めちゃくちゃな行動を続けるISISを嫌っています。ですが、ISISの言い分が分かることもあります。アメリカによって絶たれた命も多く存在するからです。憎しみを憎しみで返すと、また憎しみを生むだけです。
もし親友をアメリカ人に殺され、自分が復讐のためにそのアメリカ人を殺すと、そのアメリカ人を慕っていた人から自分は殺されるでしょう。負の連鎖です。

アメリカを支援する立場として巻き込まれてしまった日本。戦争に手を貸すことは無いと思いますが、集団的自衛権が行使されている今、事態が最悪な方向へ向かわないことを願います。


信仰心が薄く、平和ボケしてしまった自分からは理解できないことも多々ありますが、信仰心というのは時に恐ろしいものです。殺人も殉職をも誇りに感じてしまうのですから。
この殉職という言葉を耳にすると、自分はいつも、かつて戦争に参加した特攻隊を想像します。日本兵は宗教のためではなく、日本国のために命を絶ったのですが、自爆テロを行っているISISの戦闘員と似た精神状態を感じます。ISISは、本気でイスラム国を発展させたいと命を落としている人もいるのです。特攻隊は非戦闘員を攻撃するテロとは異なりますが、どちらにしてもその心情は理解できません。




ISISはイスラム教の悟りを世界に広めることを目的としています。自分のクラスメイトであるパキスタン出身の友だちはイスラム教徒ですが、やはりISISのやっていることは過剰で、イスラム教の本来の教えとはかけ離れすぎていて、本当に腹立たしいと言っていました。
イラン出身のクラスメイトもいるのですが、ISISを本当に嫌っていて、故郷に帰省することも諦めなければならないこともあるようです。
一概にイスラム教徒が悪いとは言えないので、気をつけなければなりません。


これからISISに対する日本の関わり方は気になるところですが、世界平和を心から願っています。


Ichimasa



NHKスペシャル「追跡イスラム国」