停電のありがたみ?

最近停電を経験したのはいつですか?こっちは昨日です。
日本では、停電を経験するほうが難しいかもしれません。日本が2年以上も前に経験した東日本大震災から、計画停電や節電の取り組みは強くなったと思いますが、何も警告なしに急に起きる停電。これは日本で生活している限り、経験は手で数えることができるくらいかもしれません。

小学校低学年の頃、自分は田舎の川沿いの家に住んでいたことがありました。川と家の間には周回400mくらいの広いグラウンドがあり、サッカーゴールや鉄棒があり、学校から帰宅すると、毎日のように遊び回っていたのを思い出します。

ある夏の日、台風が直撃してしまい、学校は休校、外出もできないほどの暴風域に入ってしまったことがありました。堤防を越えて川は氾濫し、いつも遊んでいた家の前のグラウンドは湖のようになってしまいました。この時初めて、同時に停電も経験しました。

日常と同じ環境の中で、普段とは違う経験ができるような時は、子どもだったせいか、なぜかワクワクして、ロウソクの灯りが妙に新鮮だったことを覚えています。危機感などありませんでした。



ウガンダに来てすぐの頃、停電は頻繁にありました。平均で週2~3回は長時間電気がなかったと思います。しかも電動ポンプで水を送っていたので、停電してタンクの水を使い切ると更には断水まで・・・。実はこれまで、最大2週間も水が止まったことがあります。ヒドイですよね。けどそんな長い断水は、今まで一度きりです。その時は、近くのホテルに通ってシャワーを浴びたりして凌いでました。笑

街全体に電気がなければ、発電機を持っているいくつかの店だけが営業を続けており、それ以外は真っ暗です。ですが、きれいに澄んだウガンダの夜空に輝く月は、人の影を作るほど明るく照らします。
街灯ばかりに照らされ、排気ガスできれいに澄んでいない空に慣れてしまっていたので、月明かりをまじまじと見ることなど、ずっと経験していないことでした。この月明かりの美しさは、未だに新鮮に感じることができます。

ウガンダに来る前にある程度覚悟していたものの、初めの頃は、電気、水道にかなりストレスを感じていました。日本ではストレスを感じないような当たり前のことで、ここではつまずいてしまいます。しかし、この体験が無ければ、ありがたみは分かりませんでした。今自分が住んでいる世界、環境が当然だと思ってはいけません。この感謝の気持ちを持つようになってから、時間が経つにつれ、徐々に慣れることが出来たように思います。

たった1年半あまりが過ぎた現在、まだ電気は不安定で停電することもありますが、1週間停電が無い時もありますし、復旧のスピードは速くなったように思います。また、断水もほとんどしません。ウガンダ人も頑張っています。

帰宅したとき、「今日は電気がある!」「水が出た!」とテンション上がりますか?
…ないですよね。自分は本当にいい経験させてもらってると思います。この気持ちは一生大事にしたいものです。



電気が無い時間が長時間続くと、ストレスを感じます。水だと、電気以上に辛いです。電気が無いときには、電気が無くて出来ることを考えるようになりました。特に、会話に費やす時間が増えたように思います。

「電気が戻るまでちょっと一休みしよう。」
「考えてた予定や計画をあの人に相談してみようかな。」

停電は確かに不便ですが、自分だけの世界に引きこもることなく、もっと大切な何かを求めるように言われているような気がします。後押ししてくれている気分です。

水に関して言えば、蛇口から水が出るから使えるだけ使ってやろう!・・・ではなく、限りある水をみんなが使えるように、節水しなければ!と思うようになりました。

先進国のように、生活に必要なライフラインが途切れないことで、大切な何かを失ってしまうような気がします。

コミュニケーション不足、ネットカフェ難民、インターネットを通じた悪質犯罪・・・これらの問題は、意外に定期的な停電が解決するのかもしれませんね。

こっちでは電気やインターネットが無いことを理由に、何時間も話し込んだり、仕事を早く切り上げる人や、仕事に来ない人が問題となっていますが・・・笑


そういえばアフリカに来る前、こんな話を聞いたことがありました。
アフリカ諸国の人と生活すると、まずは時間や約束を守らないことによる「怒り」。
そして、もうダメだこりゃ…という「諦め」。
そして最終的にうまくいくと「感謝」の気持ちが芽生えるといった話です。


この考えは本当に正解です。時間の感覚は薄れ、約束など、あって無いようなもの。異文化理解だと割り切らなければ、1人でイライラしてしまいます。そして実はこの考え、ウガンダのインフラにも当たっていました。

まず、「何で電気無いんだよ!」「何で水出ないんだよ!」という怒り。大家さんにあたってしまったこともあります。
イライラとストレスが募る日々を過ごし、2日も改善が見られないと、「どうせ明日になっても直んないや。」という諦め。
そして最終的に電気も水道も使えると、「(大げさだけど)神様ありがとう!」という感謝の気持ちになります。全くそのとおりです。

あなたの日常生活の中に隠れている「当たり前」が無くなった時のことを想像して、感謝して毎日を過ごしてください!!


Ichimasa